フルタイムのパートで働くともったいない、働き損になってしまうという声をよく聞きます。
確かに、フルタイムパートは正社員や短時間のパートと比べて様々な面で差が生じることがあり、働き損と感じてしまうこともあるかもしれません。
しかし、フルタイムパートにも当然ながら働くメリットも存在します。
この記事では、なぜフルタイムのパートで働くともったいないのか、そして働くメリット・デメリットや正社員との違いについてまで詳しく解説します。
フルタイムパートにするか迷う!本当にもったいない?
フルタイムのパート=長時間パートとも呼ばれていますが、一概にもったいないとは言えません。
というのは、人によってそれぞれ現在置かれている状況が違いますし、また人によって考え方が異なるからです。
基本的に収入、社会保険、キャリアの見通し、プライベートとのバランスなど、複数の要素を総合的に考慮し「もったいないか」総合的に判断することが重要です。
目先の収入だけでなく、将来のライフプランや職場の雰囲気も含めて、働きやすい形を選びましょう。
このように、フルタイムパートの特徴を理解し、自分のライフスタイルや目標に合った働き方を決めることが、長期的に満足のいく選択につながります。
以下に様々な情報をまとめていますので、よく考えてからフルタイムパートで働くかをご自身で決めるといいでしょう。
また「働き損をしてしまう働き方」というのは本当にありますが、収入面を気を付けるだけで回避することが出来るので、詳しくは後述します。
フルタイムパートがもったいないと言われている理由
では、一般的にどのような理由でもったいないと思われているのでしょうか?
ここでは主な理由をいくつかご紹介します。
収入が変わらないことがある
実はもったいない理由として、短時間パートと比較して収入が変わらない場合があるのです。
年収が130万円を少し超えるようなケースでは、社会保険に加入する必要がある為に、扶養内で働いていた時よりも手取りが減ることがあるのです。
なぜこのような事になるのか、というのは社会保険料の支払いが発生するために収入が減る、ということになるのです。
130万円を少し超える程度の収入では、実質的な手取りが少なくなる可能性が高くなります。
逆に短時間パートの方が、手取りを考慮した場合において有利になることが多く、フルタイムで働いた時間に見合う対価を得られないと感じる人もいます。
このような場合、短時間パートに戻ることで、無駄なく働く選択肢を検討する価値があります。
給与や待遇に違いがある
こちらは社員と比較した場合ですが、フルタイムのパートで働いていても、給与や待遇面で不利になることが多いです。
正社員と同じような時間働いているにもかかわらず、パートの給与は低めに設定される場合が多く、昇給やボーナスの面でも差が出ることがあります。
さらに、福利厚生の面でも、正社員と比べるとパートは不利な場合があります。
法定福利厚生としては、健康保険や厚生年金、雇用保険などがありますが、正社員となると法定外福利厚生も充実している場合があります。
企業独自の制度として、住宅手当、家族手当、通勤費補助、企業年金、健康診断、社内託児所、スポーツジム利用など、さまざまなサポートがあります。
これらは企業ごとに内容が異なりますが、正社員に対してより充実した福利厚生を提供する傾向があります。
昇進やキャリアアップの機会が少ない
フルタイムのパートでは、昇進やキャリアアップの機会が自然と少なくなります。
正社員であれば、役職に就いたりより責任のある仕事を任されることによって、キャリアを積み重ねるチャンスが増え、将来的に給与や待遇が向上する可能性があります。
しかし、パートの場合、同じフルタイムで働いていても昇進の機会が限られており、長期的なキャリア形成を望むのが難しいことが多いです。
また、スキルアップや研修の機会も正社員に比べて少なく、将来的なキャリアパスが描きにくいという側面もあります。
パートでは、キャリアの成長を望むよりも、短期的な収入確保を優先する働き方としての位置づけが強く、昇進やキャリアアップを期待する人にとっては不満が残ることがあり、もったいないと感じやすくなります。
雇用の安定性の違い
パートは正社員に比べて、雇用の安定性が低いのは確かです。
企業の業績が悪化した際、コスト削減の対象としては、まず先に人件費などが挙げられます。
その結果、パートや契約社員など非正規雇用の従業員が優先的に雇用を打ち切られるリスクが高く、正社員と比べると解雇のリスクが大きくなります。
さらに、パートは契約期間が設けられている場合が多く、業績悪化に伴い更新されない可能性もあるため、長期的な雇用の見通しが不透明です。
正社員は法律上の保護が手厚く、解雇されにくいというメリットがある一方で、パートはその立場が不安定なことから、特に景気や企業の状況に左右されやすいです。
こうした雇用の不安定さを考えると、フルタイムでパートとして働き続けることにはリスクが伴う場合があると言えます。
支給されていた手当が消失する
フルタイムパートで働くと収入が増えますが、配偶者の会社から支給されていた家族手当や住宅手当などが、受けられなくなる可能性があります。
これらの手当は、配偶者が扶養内で働いていることを条件に支給されていることが多く、フルタイムで働いて収入が一定の基準を超えると、その資格を失うことになります。
特に、家族手当や住宅手当は収入によって減額されたり、支給停止されることが一般的です。
結果として、フルタイムで働いたとしても、手当がなくなることで、トータルの収入が増えないどころか減少してしまう場合もあります。
フルタイムで働く前に、これらの手当の影響を確認し、家計全体での収入を考慮することが重要です。
配偶者特別控除が減少するリスク
配偶者特別控除は、配偶者が一定の所得以下の場合に、納税者(主に夫)の所得税が軽減される制度です。
この制度は、専業主婦やパートで働く配偶者に対して、世帯全体の税負担を軽減するために設けられています。
フルタイムでパートとして働くと、年収が配偶者特別控除の所得制限を超えてしまう可能性があり、結果として世帯全体の税負担が増えることがあるため「もったいない」と感じることがあります。
配偶者特別控除は、配偶者の年収が150万円以下の場合に、一定の控除が適用されます。
配偶者の年収が増えると、控除額が段階的に減少し、配偶者の年収が201万円を超えると控除が適用されなくなるため、世帯全体でみると税負担が大きくなります。
例えば、配偶者の年収が150万円以下であれば最大38万円の控除が受けられますが、201万円を超えると控除がなくなるため、フルタイムで働いていると年収が配偶者特別控除の対象から外れてしまうことがあります。
フルタイムパートと短時間パートや社員の違い
正社員とどう違う?
上述の通り、様々な違いはありますが、大きな違いとしては責任感や働き方に違いがあります。
正社員は、企業の業績に貢献するために重要な業務を任され、職務上の責任も大きくなります。
さらに、正社員は残業なども多くありますが、パートに関しては社員ほど残業を求められることは少ないです。
一方、フルタイムパートは同じ時間働いていても、業務範囲や責任の範囲が限定されていることが多く、正社員ほどのプレッシャーを感じることは少ないです。
また、急な休みや家庭の事情での勤務調整なども、フルタイムパートの方が取りやすい傾向があり、柔軟性に関してはパートの方が良いでしょう。
よって、柔軟性を求めているのであれば、パートで働く方がおすすめです。
短時間パートの違いは?
フルタイムと短時間パートの違いは、簡単に言うと主に勤務時間にあります。
フルタイムパートでは正社員に近い勤務時間で、1日8時間、週5日など長時間働くのが一般的です。
一方、短時間パートは1日数時間、週に数日程度の勤務で、柔軟に働けるのが特徴です。
時給に関しては、両者に大きな差がないことが多いですが、フルタイムパートの方がボーナスや社会保険、福利厚生といった待遇面で優遇されることがあります。
また、フルタイムパートには、企業によっては昇給の機会がある一方、短時間パートではそれが難しい場合があります。
働く時間の長さによって待遇や福利厚生が変わるため、自分のライフスタイルに合った働き方を選ぶことが重要です。
どちらかと言うと、のびのびと働けるのが短時間パートでフルタイムのパートはのびのびと働きにくいというのが特徴です。
同じ時間で働くなら社員の方が良い?
正社員と同じ1日8時間勤務という時間で働く場合、正社員になる方がメリットが大きいと感じることもあります。
正社員は、給与の安定やボーナス、昇進のチャンスなど、長期的なキャリア形成に向いている点が強みです。
しかし、正社員の採用はパートに比べて面接のハードルが高く、特に年齢が高くなるほど採用の難易度が上がる傾向があります。
特別なスキルや経験がない場合、正社員になるためにはかなりの努力が必要です。
その反面、フルタイムパートでは、正社員ほどの責任を負わず、比較的柔軟な働き方ができるため、ライフスタイルに合わせて選ぶ人もいます。
よって、現在の状況に応じて社員になるかならないか、というのを決めるのが良いでしょう。
フルタイムパートで得られる意外なメリット
社員になれるチャンスがある
フルタイムとして働くことには、正社員への登用チャンスがあるという大きなメリットがあります。
多くの企業では、長時間勤務しているパート従業員を対象に、能力や勤務態度を評価し正社員登用制度を設けていることがあります。
この正社員登用制度は、パート求人の募集要項でも確認できるので、応募前に正社員登用制度があるか判断することも可能です。
一方、短時間パートの場合は、正社員登用の機会が少なく、ほとんどないことが多いです。
そのため、将来的に正社員を目指している人にとっては、フルタイムパートとして働くことが良いステップとなることがあるでしょう。
フルタイムで働くことで、職場での信頼や経験を積みやすくなり、念願の社員となる可能性があります。
採用される可能性が高い
正社員募集の求人に比べて、フルタイムのパートは採用されやすいというメリットもあります。
多くの企業では、長時間働ける従業員を求めているため、短時間パートよりもフルタイムパートの方がニーズに合っていることが多く、その結果、採用される可能性が高くなります。
また、正社員の採用に比べると、面接のハードルが低く設定されている場合が多いため、スキルや経験が不足していても採用されやすいケースがあります。
企業にとっても、安定的に働ける人材は貴重であり、特に即戦力となるフルタイムパートは重宝されることが多いです。
安定した収入を得ながら、比較的採用されやすい働き方を選びたい人にとって、パートは魅力的な選択肢となるでしょう。
転勤や異動の可能性が少ない
正社員として働く場合、企業の人事方針に従って転勤や異動を命じられることが多く、場合によっては家庭や生活に影響を与えることがあります。
しかし、フルタイムのパートはそのような異動や転勤が求められることは非常に少なく、基本的には採用された勤務地で働き続けることが可能です。
地元で働き続けたい人や、家庭の事情で勤務地を変えたくない人にとっては、フルタイムパートは非常に魅力的な働き方です。
勤務地の安定性が高いことから、長期的に同じ職場で働きたいという方には大きなメリットとなります。
社員と比べて辞めやすい
正社員は、企業に対する責任が重く、退職する際には長い引き継ぎ期間や手続きが必要になる場合がありますが、パートの場合はその手続きが比較的簡素です。
労働契約が正社員ほど厳格ではないため、退職の意思を伝えてからのプロセスがスムーズに進むことが多いです。
また、パートは労働条件に柔軟性があるため、ライフステージの変化や家庭の事情で辞める必要が出た場合でも、比較的簡単に辞めることができます。
この自由度の高さが、フルタイムパートのメリットとして多くの人に支持されています。
社会保険に加入できる
社会保険に加入することで、将来の年金受給額が増える可能性があり、正社員と同様の社会的な保障を受けることができます。
健康保険や厚生年金に加入することで、医療費の負担が軽減されるほか、老後の年金が国民年金のみの場合に比べて手厚くなります。
また、万が一の事故や病気の際にも、保険の給付があるため、経済的なリスクを軽減できる点も魅力です。
正社員だけでなく、一定の条件を満たすフルタイムパートでもこうした保障が受けられるため、働きながら安心感を得られることが大きな利点となります。
フルタイムパートの落とし穴!知っておきたいデメリット
精神的負担が大きくなる
社員ほどではないですが、短時間パートよりかは精神的な負担は大きくなる傾向が強いです。
理由として、フルタイムだと勤務時間が長くなるため、業務量が増えたり責任感が重くなったりすることが一般的です。
特に正社員と同じようにシフトを埋める役割を担う場合、長時間働く中でプレッシャーやストレスを感じることがあります。
また、場合によってはワンオペなどを任されることが多くなり、精神的負担が増えてしまう可能性としては高くなりやすいです。
このような要因から、いくら給料が増えてもストレスが溜まって「働き損」と感じてしまうケースも少なくありません。
休日が少なくなりやすい
パート勤務でありながら週のほとんどの日を働くことになり、休日を十分に確保することが難しくなることがあります。
これにより、リフレッシュする時間を確保するのが非常に難しくなり、結果として身体的な疲労や精神的な疲れがたまりやすくなります。
さらに雇用形態上、休みを申請しにくかったり、シフトの調整が困難であることも少なくありません。
こうした状況により、思うように休めないことが続くと、ますますストレスが溜まり仕事への意欲が低下することもあります。
また、十分な休息が取れないことで体調を崩しやすくなり、風邪をひきやすくなったり、慢性的な疲労感に悩まされたりするリスクが高まります。
特に、仕事以外のプライベートな時間を大切にしたいと思っている人にとっては、こうした状況は非常に厳しく感じられるでしょう。
例えば、趣味の時間や家族との時間が減少し、生活全体のバランスが崩れてしまうことがあります。
十分な休日を取れないことは、身体的だけでなく精神的な健康にも悪影響を及ぼすことがあり、長期的にはうつ状態などのメンタルヘルスの問題を引き起こすリスクさえあります。
したがって、フルタイムパートで働く際には、いかにして休息を取り、リフレッシュするかが非常に重要な課題となります。
体力的な負担がかかる
正社員とほぼ同じような労働時間をこなすため、身体にかかる負担が大きくなります。
体力に自信がない人や家庭の事情で負担を軽減したい人にとっては、厳しい働き方となることがあります。
例えば、長時間の立ち仕事や肉体労働を伴う職場では、体力的な疲労が溜まりやすく、慢性的な疲労感に悩まされることがあります。
こうした状況が続くと、体の疲れが積み重なり、日常生活においても活力を失うことがあります。
また、年齢を重ねると体力の回復力が低下するため、より一層負担が大きく感じられることもあります。
以前は問題なくこなせていた仕事でも、年齢とともに疲労感が増し、体力的な限界を感じやすくなることがあります。
そして体力的な負担が増えることで、最終的には健康を損なうリスクが高まることも考えられます。
体の疲労が蓄積すると免疫力が低下しやすくなり、風邪を引きやすくなったり、慢性的な腰痛や肩こりといった体の不調にもつながることがあります。
このように、体力的な負担が続くことは、身体だけでなくメンタル面にも悪影響を与える可能性があるのです。
拘束時間が長い
上記の通り、フルタイムで働くと1日8時間勤務が基本となり、これに通勤時間が加わると家事や子育てに割ける時間が限られてしまいます。
特に、家族との時間や自分の時間を大切にしたい人にとって、長時間の労働は自由の時間を奪われることになり、仕事と生活のバランスを保つことが難しくなる場合があります。
短時間パートであれば、比較的自由な時間を持ちやすく、家庭やプライベートとの両立がしやすいです。
しかし、フルタイムでは拘束時間が長くその分時間に追われ、上記のように体力的にも精神的にも余裕がなくなることが考えられます。
こうした点から、フルタイムで働くことが必ずしも効率的でない場合もあると言えるでしょう。
フルタイムパートで働き損にならない為のポイント
年収150万円付近にする
働き損にならないためには、年収150万円付近を目指すことがポイントです。
社会保険に加入することになると、保険料の負担が発生しますが、年収が低すぎるとその負担に見合った収入が得られず、短時間パートで働く方が手取りが多くなる可能性があります。
そのため、フルタイムで働く場合は、年収が150万円程度になるように調整するのが目安となります。
年収200万円を超えると、配偶者特別控除の適用外になるため、手取りが減るリスクがあります。
適切な年収を維持しながら働くことで、社会保険のメリットを受けつつ、働き損を防ぐことができます。
交通費やその他の手当を確認する
手当など細かな所までしっかりと確認することが、働き損を防ぐための重要なポイントです。
通勤にかかる交通費が自己負担になると、長時間働いてもその分のコストがかかり、手取り収入が思ったより少なくなることがあります。
多くの企業では、正社員に対して交通費や食事手当などが支給されますが、パートでは支給されない場合もあります。
事前に交通費やその他の手当が支給されるかどうかを確認し、それが収入にどう影響するかを考慮することで、無駄な出費を防ぎ手取りを最大限に増やすことができます。
特に、通勤距離が長い場合や、フルタイムで働くことで負担が増える場合は、これらの手当が有無が大きな差を生むため、しっかり確認しましょう。
労働条件や待遇を確認する
正社員とどう違うのか、まず働く前に労働条件や待遇をしっかり確認しておくことが大切です。
働く時間やシフトの柔軟性、社会保険への加入条件、ボーナスや有給休暇の取得状況など、パートでも適用される待遇があるかを確認することで、働き損を防げます。
長時間働くフルタイムパートでは、正社員に近い条件が適用されることも多いため、社会保険などの福利厚生が整っているかも重要なポイントです。
労働契約書や就業規則を確認し、自分が働く環境において待遇が十分に保証されているかどうかを見極めることで、働くメリットを最大限に活かすことができます。
これにより、長時間働いても働き損にならない、安定した収入を得られる働き方が可能になります。
フルタイムのパートはもったいない?まとめ
フルタイムのパートは、働き方によっては「働き損」と感じることがあります。
社会保険に加入するため、年収が130万円を少し超えると手取りが減ることがあり、短時間パートの方が効率的に稼げる場合もあります。
また、正社員と同じような働き方をしても、給与や待遇で大きな差が出ることが多く、キャリアアップや昇進の機会も限られています。
しかし、フルタイムパートは社員登用のチャンスがあったり、社会保険に加入できるなどのメリットもあります。
働き損にならないためには、年収150万円前後を目安にすることや、交通費や手当、労働条件を事前に確認することが重要です。
自分のライフスタイルや目標に合わせて、フルタイムパートが最適かどうかを判断することが大切です。